これまでに研究してきた内容で, 何らかの形で応用ができそうなものをいくつか簡単に紹介する. 興味がある項目があれば, お気軽に連絡していただきたい. また, ここに記載されていない内容でも, 分野によっては何かお手伝いできるかも知れない. (なお, 内容については時間を見つけて細々と更新してゆく予定である──と言いつつ, かなり時間が空いてしまう可能性もありそうだが…)
「共同研究」というと敷居が高そうに見えるが, 単に「こんなことで相談したい」というような用件で十分である. まずはご連絡を.
最適設計の解説をここに挙げているが, 工学応用の問題では, 何らかの「最適化」が求められることが少なくない. しかるに, ほとんどそういうことを考えていなさそうなものも世の中には多く存在するようである. たしかに「最適化」「最適設計」を学術的な見地から真面目にやろうとすると, 考えなければならないことがあまりにも多く, なかなか大変である. ただ, 「とりあえず最適化してみるか」という程度の適用であれば意外と敷居は低く, また, そういったプチ最適化でも, 十分に有意な結果が得られることは少なくない. ここに, 私の研究での最適化・最適設計の例をいくつか示すので, 気になる例があれば問い合わせていただきたい.
最適設計の中でももっともポピュラーな分野と言えるかも知れない. 数多くの研究事例があり, 優れて美しい構造最適解も得られているようである.
形の制約がある場合 | 座屈を考慮する場合 |
これは, 資源再配分型のアプローチによる最適設計結果の例である. 基本的には, 部材の太さを荷重にちょうど見合うようにするということを, 繰り返しシステマティックに行うだけなのであるが, 計算機が高速となった現代では, このような単純なアプローチでも十分に有意義な結果が現実的な時間で達成できる. これは (かなり以前のものとは言え) まだそれなりに精緻な結果である (それなりの工夫もある) が, 同様の, もっとラフな最適化でもそれなりの効果は期待できる.
以下の例は, 昔懐かしい, プロッタを用いて文字を描く場合のペンの移動経路の最適化に相当する例である. 黒が文字の描画部分, 赤がペンを持ち上げての移動部分に相当する. すなわち, 赤い部分が少ないほど, 効率の良い経路となっている.
文字単位の単純な最適化による経路 |
少し凝った最適化による経路 |
このような問題を扱う場合に, 現在多く用いられている (と考えられる) 経路設計の結果が上の図である. しかし, この研究で得られた, 少し凝った (抽象化志向最適設計, と呼んでいる) 手法を用いると, 下の図の経路が得られる. 一見して, 赤い線の量が減っていることが確認できる. (このあたりの人間の直観的能力, というのも興味深い)
これはあくまである種の局所最適解であり, 真の最適解にはほど遠い可能性があるが, それでも, 単純な手法に比して10%の経路短縮効果が達成されている.
これは, とある最適化関係の講演会に研究発表のお誘いを受けたときに, ふと思いついてやってみた結果である. 学術的な意義は (それほどは) 考えずに, あまり最適化されていない (かも知れない) ものを 多少強引にでも最適化してみたらどうだろうか, とやってみたのだった.
閉曲線形状の領域にタイルを敷き詰める, あるいは, 閉曲線形状の板からタイル状の板を切り出す, ということを考える. 以下の例は, 見てわかるようにあまり凝った最適化は行われていない. しかしそれでも, 7%を超える最適化が達成されている.
特に最適化していない切り出し (90枚) | とりあえずの最適化の結果 (97枚) |
この例が示すことは, 程度はともかく, 最適化はとにかくやってみる価値がある, ということかと思う.
私は, なんとなく, 自分の専門を「システム工学」と考えている──のだが, システム工学を明確に定義するのは実はけっこう難しい, と思う.
とりあえずここでは, 「何か問題がある. しかしどこが問題であるかが明確ではない. 何かしなければならないが, どのように取り組めばいいのかわからない」 というような内容を取扱うための体系が「システム工学」である, としておく. すなわち, システム工学的なアプローチ (というのも曖昧だが) により 問題を明確にすることにより, 各種の専門的な知見を活用して問題を解決することができるようになる.
もし, そういう微妙な問題を何とかしたいと考えている方がおられれば, お気軽に連絡していただきたい. 少しはお役に立てるかも知れない. (立てないかも知れないが…)