1.大型風車によるアノイアンス発生
大型風車の普及に伴って、近隣の住民がアノイアンス(感覚的不快感)を訴える事例が多くなってきています。
これまでは風車からの騒音が原因とされていましたが、騒音は距離の3乗に反比例して減衰するので、居住地域では環境騒音程度まで減衰してしまいます。
風車から発生する振動は空気の振動だけでなく、風車自体の振動により地盤の振動も発生します。地盤の振動は遠距離まで減衰が少ない状態で伝播するので、その影響も否定できません。そこで、風車による振動と地盤構成の関連性に関して調べています。
大型風車の例と振動の計測装置
振動の距離減衰と、アノイアンス発生地域での振動の三次元分布
2.小型風車の性能向上
電力供給を目的とする大型風車に対して小型風車は都市部での非常用電源などに用いられます。サボニウス型の風車は、回転力(トルク)は大きいですが、回転数が低く効率が低いという欠点がありますが、端板に孔をあけて、そこからの内部気流の吸出しおよび外部流の流入によって効率の向上を図る研究をしています。この孔の効果により5%程度効率が向上します。
端板孔を設けたサボニウス風車と効率曲線(最大で5%効率が向上)
3.ウェルズタービンの研究
四方を海に囲まれたわが国では、、最近、波力発電クローズアップされてきています。この波力発電にしばしば用いられるウエルズタービンは、左右いずれの方向からの気流にも同じ方向へ回転し、構造が簡単ですが、回転速度が速く騒音発生の課題があります。その低減と性能の向上に取り組んでいます。
研究に用いているウエルズタービン