293T細胞の維持
1) 293細胞はヒト胎児由来腎臓上皮細胞である。遺伝子導入の効率の良い細胞として知られている。293関連の細胞としては293細胞とSV40Tが導入されたT細胞の2種類があるので、区別するよう注意を要する。
2) ほぼコンフルエントに達した293T細胞の培地をアスピレーターで引く。1XPBS(和光純薬, 048-29805を10倍に薄めてオートクレーブ)10ml (100mmディッシュの場合)を加える。293T細胞は剥離しやすいので、ピペッターの速度を調節してゆっくり加えることが必要。
3) 0.017%トリプシン/EDTAを1ml加える(注2)。37℃で約5分加温。トリプシンの濃度が高いものを利用すると細胞がおかしくなるので、要注意。タッピングにて細胞を完全に剥がす。
4) DMEM(High glucose)10% FCS+SPA培地を10ml加える。細胞をばらばらにするためにサスペンド。
5) 100ulをとり、新しい10mlのDMEM10%FCS+SPAを加えた100mmディッシュに播種。(注意)
6) 細胞が均一になるよう、ディッシュを揺らす。ハート形に何度も回すと良い。円形に回すとディッシュ中央に寄ってしまう。
7) 約1週間でコンフルエントに達する。細胞がおかしくなるのを防ぐ為に、定期的に凍結チューブから起こし直しをすることが望ましい。
(注意)慎重を期すなら、中和した細胞ライセートを15mlのチューブに回収、800Gで遠心分離、その後10mlのDMEM10% FCS培地にサスペンドし、トリプシンを除去した方が良い。細胞数をセルカウンターで計測した後に、1X10^5程度の細胞をパッセージすると良い。100mmディッシュのコンフルエントで1X 10^7程度になるので、100ulとれば1X10^5程度になるという計算が成り立つ。
(注2)0.017% トリプシン溶液の作り方…0.5% Trypsin/5.3mM EDTA溶液(ナカライ: 35556-44)を1X PBSにて30倍希釈する。