プラスミド抽出法

 

プラスミド抽出法 (ミニプレップ)、第1版、111711福田智一作成


1. LB-Amp培地を3-4ml, 15mlのファルコンもしくはピンクチューブに分注する。メタルラックもしくはプラスチックラックに培養したいコロニーの数だけ、LB-Amp培地を入れた15mlチューブを用意する。


2. 寒天培地からバーナーを炊いたセミ無菌状態で、Pick up。Pick upにはイエローチップを用いる。ピンセットを用いてイエローチップを拾って、大腸菌コロニーを突っつく。その突っついたイエローチップをそのまま3-4mlのLB-Amp培地が入ったチューブに落とす。フタをタイトに閉めて、エアレーションを良くする為に、ラックを横にした状態で震盪培養機に突っ込む。37℃, 200rpmで16時間以上培養。約10時間くらいから培地が濁りだす。40時間くらいまで待って濁らなければ、そのチューブは諦めた方がいい。40時間以上培養して濁り始めた培地からはプラスミドが回収できないことが多い。


3. Swingの遠心分離機で3500rpm, 10分遠心分離。イエローチップごと遠心する。イエローチップと培養上清を別チューブに移す。その上清には数滴のピューラックスを加えて、大腸菌を昇天させる。昇天させた大腸菌はその後に流しへ。


4. ペレットをLaboPass S1溶液250ulにサスペンド。1.5mlのエッペンドルフチューブへ移す。250ulのS2溶液を添加。やさしく混合。その後20分ほど室温放置。


5. エッペンドルフチューブに350ulのS3溶液を添加。激しく混合。溶液は白濁する。15000rpm, 10分遠心分離する。白いゴミが沈殿する。上清をブルーチップで分取し、LaboPassのカラムへ移す。その後15000rpm, 1min遠心分離。


6. カラムを通過した溶液をアスピレーターで捨てる。カラムに750ulのPW溶液を加える。15000rpm, 1min遠心分離。


7. カラムを通過した溶液をアスピレーターで捨てる。カラムをそのままもう一度、15000rpm, 1min遠心分離(これを忘れると悲劇が起こる、後述)。


8. 一本のカラムあたり、55ulのEB溶液をイエローチップを用いて添加する。カラムのベッドに出来るだけ近くまで、チップの先を持って来て添加する。しかしベッドは傷つきやすいので決して触らない。回収率を上げるために室温にて1分待つ。


9. 15000rpmにて1min遠心分離。得られたEB溶液を必要に応じて集める。回収されたDNA濃度をナノドロップを用いて2ulの溶液で測定する。うまくゆけば100ng/ul以上の濃度が得られる。それ以下ならやり直し。制限酵素切断、培養細胞へのトランスフェクションなど次のステップへ進む。


 悲劇とは?

 ここのステップでPBを完全に切るのを忘れると、PBに含まれるエタノールが最終的に溶出されるEBの中に残存してしまう。そうすると、プラスミドを得て、制限酵素切断し、その後アガロースゲルにて電気泳動をしようとすると....あーーっという間にサンプルがゲルのウェルの中で浮き上がり、全てが無に帰すことになります。気をつけましょう。