第1回 岩手代数学セミナ

20191212日(木曜日)~14日(土曜日)岩手大学教育学部総合教育研究棟(盛岡市上318-33)   E35教室(12日)  E22教室(13, 14日)

プログラ

1212日(木)  E35

13:30-14:30 村木 尚(岩手県立大学) (60) 代数的確率論-非可換世界の確率
14:40-15:40 小松 侑(東北大学) (60) コクセター群のコクセター元による分
15:50-16:20 鈴木 瞭太朗  (岩手大学) (30) Riemann-zeta関数の零点と素数の分布につい
16:30-17:00 菅原 隆(筑波大学) (30)非可換ローラン多項式環上の線形群の普遍中心拡大および付随すK1K2

1213日(金)  E22教室一般向け講

13:30-14:30 森田 (筑波大学) (60) LEALA(局所拡大アフィン・リー代数)の誕生秘
14:40-15:40 川田 浩(岩手大学) (60) Waring問題とその周
15:50-16:50 山内 (東京女子大学) (60) Sunshine of the Monster

18:00-懇親

1214日(土)  E22

9:00-10:00 郡 敏(早稲田大学) (60) 実または複素リー代数の4元数
10:10-10:40 冨江 雅(盛岡大学) (30) Reflectable基底とその応
10:50-11:50 山根 宏(富山大学) (60) 一般化された量子群の典型的既約指

アブストラクト

村木 尚(岩手県立大学) 代数的確率論‐非可換世界の確率論

通常の確率論(古典確率論)において,確率変数(ランダム量)たちのなすシステムは可測関数のなす可換代数で表され.これを(量子論の考え方を念頭に)非可換化してやる,確率変数たちのなすシステムは作用素のなす非可換代数として表されることにな,この非可換代数の上である種の‘確率’が展開可能とな.非可換代数上で確率論を考えて何が面白いのかという,可換確率論の場合の古典的な独立性概念の他に新たなる独立性概念(自由独立性など)が存在可能とな,古典確率論とは異なる新たなる確率論(自由確率論など)を展開できるところであ.本講演では,予備知識をあまり仮定せずに,非可換確率論について紹介する.

 小松 侑(東北大学) コクセター群のコクセター元による分類

コクセター群にはコクセター元と呼ばれる特別な元がいくつか存在するが,有限コクセター群のときのみ,すべてのコクセター元がある特徴を持つことがM. Kleinerによって示された.今回はその特徴を紹介し,無限コクセター群のコクセター元が持つ特徴による分類を考察する.

 鈴木 瞭太(岩手大学) “Riemann-zeta関数の零点と素数の分布について

解析接続されRiemann-zeta関数の臨界領域内の零点の分布,素数の分布と密接に関わってい.その周辺の内容につい,現在知られている様々な結果とともに紹介する.

 菅原 隆(筑波大学) 非可換ローラン多項式環上の線形群の普遍中心拡大および付随すK1K2

線形群の係数環を非可換ローラン多項式環とし, Tits systemの存在,付随して考えられK1K2群の構造の決定および線形群の普遍性の判定を行った.

 森田 (筑波大学) “LEALA(局所拡大アフィン・リー代数)の誕生秘話

はじめ,リー代数の基本的な事項を復習す.そし,吉井洋二氏との出会いから,局所拡大アフィン・リー代数の概念が誕生し現在に至るまでの過程,同氏の海外留学などの経歴も交えながら振り返.,今後の動向についても方向性を探りたい.

 川田 浩(岩手大学)

“Waring問題とその周辺

Lagrange1770年にすべての自然数は高4つの平方数の和となることを示したのを受け,同Waringは「すべての自然数は高9個の立方数の和となる」,「すべての自然数は高194乗数の和となる」と証明なしで記しました.これを端緒として,べき乗数の和によって自然数を表すことに関わる様々な問題が研究されていてWaring問題とはそのような問題の総称です.こWaring問題やそれと関連する問題について,私の関与した結果の紹介も含めながら,話をさせていただく予定です.

 山内 (東京女子大学) “Sunshine of the Monster”

有限単純群の分類において発見されたモンスター単純群と保型形式との不思議な関係を述べたムーンシャイン予想,ムーンシャイン頂点作用素代数を用いることでボーチャーズにより肯定的に解決され.歴史的に,散在型3互換群であるフィッシャー群の発見からベビーモンスターが発見さ,ベビーモンスターからモンスターの存在が予想された,現在知られているモンスターの存在証明はリーチ格子の対称性(コンウェイ群および散在型鈴木群)に強く依存してお,フィッシャー,ベビーモンスターからモンスターへと続く散在型有限単純群の系列を自然に記述するものではな.この系列を自然に記述す,ムーンシャインならぬサンシャインがあるであろ,というのが題目の意味であ.(このアイデアは北詰正顕氏によ.)この講演で,頂点作用素代数を用いた上記の系列的な対称性の構成問題に関する研究状況について報告したい.

 郡 敏(早稲田大学) 実または複素リー代数の4元数化

A quaternionic structure on a C-module V is a conjugate linear map J : V V that satisfies the relation J2 = I .(V, J) is called a quaternionic module or a H-module. A typical example is gl(n, H)= H0C gl(n, C). There is an involution σ on V defined by σ(x+Jy)= xJy, x, y ε V . We call a R-submodule W of a H-module V a σ-submodule if W is invariant under σ. W is not necessarily J-invariant. For example, I = {ia + jc; a ε R,c ε C} is a σ-submodule of H, but is not a quaternion submodule. sl(n, H) is a σ-submodule of gl(n, H), but is not a H-module. Let g be a σ-submodule of a quaternion module (V, J). We call g a quaternion Lie algebra if g is endowed with a real Lie algebra structure compatible with the involution σ : σ[X, Y ]=[σX, σY ]. Let g0 be a complex Lie algebra. We call a quaternion Lie algebra g the quaternification of g0 if H0C g0 = g0 + Jg0 generates g as a real Lie algebra. For example, the H-module H0C sl(n, C)= sl(n, C)+ Jsl(n, C) is not a Lie algebra but it generates the Lie algebra sl(n, H). sl(n, H) is a quaternifiction of sl(n, C). We shall construct the quaternification of a given simple Lie algebra. We follow the well known argument due to Harich-Chandra, Chevalley and Serre to have the simple Lie algebra from its corresponding root system.

 冨江 雅(盛岡大学) “Reflectable基底とその応用

Reflectable基底と,ルート基底の一般化であり局所有限型などルート基底を持たないルート系においてワイル群の構造などを調べるうえで便利な概念であ.本講演ではリフレクタブル基底における組合せ的性質を有限古典,局所有限型について紹介する.

 山根 宏(富山大学) 一般化された量子群の典型的既約指標

一般化された量子群の典型的既約指標の公(arXiv:1909.08881v2)について紹介す.この公式Kacが見つけた単純スーパーリー代数の典型的既約指標の公式の対応であり,元をたどれば単純リー代数Weylの指標公式の対応物である.