カーボンナノチューブの励起子と表面プラズモンの相互作用
ナノメートルスケールのギャップを隔てて置かれた2つの金ブロックに光を当てると、表面プラズモン共鳴によりギャップ部分に留まった強い電場が生じます。この電場を利用して、ギャップ近傍に配置したカーボンナノチューブの励起子を励起する場合のシミュレーションを行いました。ナノチューブ中にチューブ軸方向に運動する励起子が励起され、この励起子によって作られる電場のために、金ブロックの表面プラズモンが抑制されることが分かりました。

ギャップ近傍の電場分布の断面図。

(左列) 白の実線と破線はそれぞれ金ブロックとナノチューブの断面を表します。(a) ナノチューブの影響がない場合の結果。金ブロックの表面プラズモンによりギャップに強い近接場が生じます。(b) 励起子と表面プラズモンの相互作用を取り入れない範囲でナノチューブの励起子を考慮した場合の結果。(c) 励起子と表面プラズモンの相互作用を考慮した結果。

(右列) (上段) 上面から見た系の模式図。(中段) 図(b)と(a)の差を示す図。ナノチューブ中に軸方向に移動する励起子が励起され、ギャップ付近で電場が増強されます。(下段) 図(c)と(a)の差を示す図。ナノチューブ中の軸方向に移動する励起子によって生じた電場が表面プラズモンを抑制した結果、ギャップの広い領域で電場が減少します。

文献
S. Uryu, H. Ajiki, and H. Ishihara, Phys. Rev. Lett. 110, 157401 (2013).

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