 |
 |
 |
|
|
|
 |
 |
 |
 |
 |
瓜生研究室ではカーボンナノチューブ・グラフェンなどのナノ物質や半導体二次元電子系の光学応答と輸送現象を理論的に研究しています。 |
励起子とプラズモンの統一描像 |
光照射などによって物質中の一つの電子が外部からエネルギーを受け取り高いエネルギーになった状態は励起状態と呼ばれます。これとは別に、物質中には一電子の励起状態を位相を揃えて多数重ね合わせた集団励起状態と呼ばれる状態が現れることがあります。励起子とプラズモンは固体における代表的な電子の集団励起状態で、しばしば系の光学応答を特徴づけます。従来、両者は別々の理論で計算されてきましたが、量子多体現象として統一的に理解できると考えられます。私たちは、グラフェン・カーボンナノチューブなど励起子とプラズモンの両者が顕著に現れる物質において、原子核物理や量子化学の分野で用いられる乱雑位相近似と呼ばれる量子多体理論によって励起子とプラズモンが統一的に記述できることを例証し、両者の間の相互作用などを明らかにしました。 |
ナノ物質の非局所応答の数値計算法 |
物質に電場を印加すると電流や電子分布の偏りである分極が生じます。このとき電流や分極は観測する位置の電場だけではなく物質中の他の場所の電場の影響も受けます。これは非局所応答と呼ばれます。物質の電場に対する非局所応答は、局所応答の近似では記述できない現象を引き起こすことがあります。金属ナノ構造の表面プラズモンにより誘起される局在光を用いて、伝搬光では実現できない物質中の電子状態を励起することは、この一例です。この系の数値計算には、任意形状の金属ナノ構造を含む全系に対する電磁気学と非局所応答する物質に対する量子力学を矛盾なく計算する必要がありますが、これまでそのような有効な数値計算法は知られていませんでした。私たちは光の伝搬に金属ナノ構造の影響を取り入れることにより精度よくこの計算を行う手法を開発しました。 |
カーボンナノチューブの光学応答と輸送現象 |
カーボンナノチューブは炭素から成る単層の蜂の巣格子を卷いた直径 1 ナノメートル程度の円筒物質です。微小な物質であるカーボンナノチューブの構造・電子状態の解明においては、光学応答測定が重要な役割を果たします。ナノチューブは一次元系であるため電子間相互作用効果が強く、光吸収により生じた電子と正孔の束縛状態である励起子という多体効果が重要になります。私たちはカーボンナノチューブにおける様々な励起子効果を明らかにしました。
生成過程で自己集合し入れ子状になった多層ナノチューブでは、各チューブの原子配列周期が非整合であるため、多層ナノチューブ全体は準周期系になります。従来、準周期的な多層ナノチューブのチューブ間電気伝導は理論的にはほとんど解明されていませんでした。私たちは、多層ナノチューブのチューブ間電気伝導の数値計算法を開発し、多層ナノチューブのチューブ間電気伝導を明らかにしました。
|
半導体メゾスコピック系の電気伝導 |
組成の異なる二つの半導体の接合界面などに形成される二次元電子系には、微細加工によりサブミクロン程度の構造を持つメゾスコピック系が実現されます。私たちは、アンチドット格子と呼ばれる周期系における磁場中での電子輸送現象や量子カオス理論との対応等を明らかにしました。 |
 |
 |
 |
Copyright (C) Seiji URYU, All rights reserved. |
|
 |
|