第 5回 数学教材研究会

 

 

日時 平成24年314() 2時 より

場所 秋田高専 テクノセンター

 

. 2時〜230分  

「テイラーの定理について」 

               吉 井 洋二 秋田高専 自然科学系 教授

 

 テイラーの定理を教えるべきか否 かを皆様と議論したい。学生にとって大切なのはテイラー展開であり、特にマクローリン展開さえ知っていれば事足りることが多い。個人的には平均値の定理を もスキップして、ある程度微分に慣れた時点でマクローリン展開の有用性を説明し、練習させるのがよいと思っている。ただここでは、もしこの分かりづらく、 それ自身あまり役立たない「テイラーの定理」を教えるとしたら、どのような教授法がよいか、1つの提案をしたい。

 

発 表資料

 

. 230分 〜320

「秋田高専低学年教育における物理 学と数学の接点」

 

                       金田 保則 秋田高専 自然科学系 教授

 

 平成24年度の一般教科としての物理学教育は、第2学年の 物理I(実験を含む)(通年)、第3学年の 物理II(前期)、応用物理I(通年)、教 養ゼミナール(後期)の授業の中で行われた。これらの中で、金田が担当した分の授業・定期試験の内容とその結果(成績)を振り返りながら、物理学と数学の 接点、学生にとって数学が物理学の理解にも重要であることを再確認する。

 

. 330分 〜4時頃まで(フリートーク)

 

 全体を通しての質疑応答、今後の 課題、授業で気づくこと、たとえば

 

・積分定数Cを省略する教科書をどう思うか、

 

・2種類の置換積分を区別なく説明する 教科書に違和感はないか、

 

・数学で矢印ベクトルを導入してよ い か(昔は理科で習ったあと数学に登場した)、

 

等々を議論したい。

 

トー クの結果:


(吉井)
物理でも数学でもベクトルを理解できない学生が多いことがわかった。
昔は中学校の理科で「力の合成」を学習したので、ベクトルの和についてあまり抵抗
がなかった。ところが、現状では数学でベクトルの和を教えた後、物理の方で、ベクトルを習った
ものとして授業を進める。ここに問題点があるように思えた。できれば数学でベクトルを習う前
に、ベクトルの和・差などを物理で教えることができればと思った。
また、物理では、差を相対速度を例に教えるようだ。これは数学でも取り入れたいと思った。

(金田)
積分定数Cを省略する教科書は、(個人的には)論外。
微分方程式を基にした質点の力学に例えると、例えば初期位置・初速度を無視するこ
とになる。
ベクトルの学習に関しては、数学の授業でも合力や相対位置・相対速度を積極的に実
例として扱っていただいて良いと思う。
(低学年を対象としたこのレベルの教育内容で)数学・物理どちらかが先でないと困
るというのでは、困る。
線引きする類のものではない、ということである。